スピードマスタープロフェッショナル 後編

時計

 

前編にて

スピードマスター プロフェッショナル前編
冒頭に今の時事ネタを書き込むようにしています。以前にも書きましたが備忘録のように振り返ればと思います。東京では毎日コロナウィルスの感染者数が発表されています。私は大阪ですが近畿圏では罹患率が高い都道府県だと思います。診察を...
 

○NASA公認の公式時計に選ばれる。

○宇宙飛行士のミッションに同行し、その結果月に行った数少ない時計。

について書きました。中身が濃く文字数がかなり多くなりましたので前後編に分けました。

では続きをどうぞ

スピードマスター  後編

○その偉業が大きすぎてほぼ形を変えないで現在もリリースされている。

現在店頭に並んでいるスピードマスター プロフェッショナルは宇宙に行ったモデルとほぼ変わりありません。細かな点の変更はありますが大きく形は変わっていません。

初代スピードマスター はシーマスターをベースにで1957年1月に開発され翌年に発売されました。

NASAのテストを受けたのは第三世代スピードマスターと言われる型で時分針を白のバーハンドに変えて視認性の向上を図り、気密性・防水性の為にプッシャーにもOリングを採用。プッシャー径も5㎜とひと回り大きくさせ操作性をアップ。このような改良は激しい陸上スポーツを想定したものでしたがNASAの厳しい検査に耐え得る腕時計に進化しました。

第四世代スピードマスター は第三世代のモデルと同時期に製作されていましたが最大の改良はリューズガードの採用です。これにより時刻合わせなどの際にリューズにかかる過大な負荷や、衣服との引っ掛かりの問題などを解消。これらの改良は宇宙飛行士に合わせたNASA側の要望で実現しました。

とややこしい説明が続きましたが、この時から形が変わっていません。言い換えれば今でも月に行った時計のレプリカを作り続けているということです。

これは外見の話、中身はどうでしょうか?

Cal.321

Cal.321
スピードマスター の初期モデルに採用されたムーブメント。1940年にオメガ がレマニア社に依頼して誕生した手巻き式キャリバー。クロノグラフとしては、当時世界最小27㎜の直径に12時間計、耐震、対磁機能を装備した驚異的なムーブメントです。

初代が1957年設計なのに機関部は1940年の物を採用するとは、今の物づくりでは考えられないです。しかし、それだけ信用と能力のあるムーブメントだったのではないでしょうか!?

*レマニア社

レマニア社
1884年にスイスのジュウ渓谷で創業したムーブメント会社。1910年にオメガ用ムーブメントの製造を開始し、’32年にはオメガとの契約でロサンゼルスオリンピックの公式計時用の懐中時計を開発。現在はスウォッチグループの傘下に入っています。

Cal.861

Cal.861
スピードマスター の第二世代に当たるムーブメントでCal.321に改良を加えたもの。クロノグラフを制御するピラホイールをハート型のカムに変更して構成パーツを減らすことで作業工程を簡略化。容易な微調整を可能にしました。

コラムホイールからカム方式への変更と共にカム式として初めてブレーキレバーを搭載。振動数が5振動(1万8000振動)から6振動(2万1600振動)に変更されています、これで精度も安定しました。

Cal.1861

Cal.861を改良したムーブメントで現在の「スピードマスター プロフェッショナル」に搭載されているムーブメントです。外見が銅メッキからロジウムメッキに変更されているなどのマイナーチェンジに留まっています。

裏スケルトンモデルに搭載されているのは見栄えを意識した部品に交換されている『Cal.1863』

外見も中身も数年で目まぐるしく変化していきましたが現在の形に落ち着いてからはベルトの変更や付属品の変更以外はほぼ変わっていません。変えない方が売れた!というのが本音かもしれません。

これだけ宇宙への憧れとロマンが詰まったドラマ性のある時計は他には無いかもしれん。

加えてデザインはもちろん人の好みが別れるところなので良し悪しが分かれますが、視認性やフェイスと針のデザインは変更する必要が無いほど完成している印象です。ムーブメントも基礎設計は80年以上前の機械なのでもちろん最近設計された新型機には精度も安定性も劣る部分が多分にあると思います。しかしそれを差し置いても『壊れにくく頑丈なムーブメント』という評価を受けています。

○その結果、相当数のファンやカルト的な人気がある。

いくら形を変えていないと言ってもオメガも企業。新しいことやNEWモデルをリリースしないと継続して購入してもらう事は難しくなります。

結果、正直紹介しきれないほど期間限定モデルや廃盤モデルが数多くあります。

アラスカプロジェクト

オメガ がNASAにより高度なスペースウォッチを開発するプロジェクトで誕生したモデル。競合メーカーに悟られないようにシークレットコード〝アラスカ〟が用いられた。宇宙での極端な温度変化に対応する為のアウターケースを装着している。陽極酸化処理を施したアルミニウム製のケースは-148℃~+260℃の温度変化に耐える。

アウターケースが付属しないデジタルの物もあるがNASAに採用はされなかった。

アポロ11、13、15、17号特別モデル

昨年2019年はアポロ11号が50周年記念でした。それに合わせてもちろん記念モデルが発売されました。「シルバースヌーピーアワード」はアポロ13号の貢献を称えた賞なのでスヌーピーもこの枠に入ります。

1975年、冷戦の終結を告げる米ソ宇宙船のドッキングで両国の宇宙飛行士がスピードマスター を装着したことを記念した『アポロ・ソユーズ』というモデルもあります。

ここまでのモデルはスピードマスター プロフェッショナル(手巻き式)のを元にした改造機・限定品でしたが以下のバリエーションはそれぞれ違ってきます。

マーク2

コレクション誕生以来初めてデザインを刷新した次世代モデル。バリエーションも豊富。似たような後継機でマーク3(自動巻モデル)もあります。

2014年に復刻し、現行のラインナップに加わっています。

https://www.omegawatches.jp/ja/watches/speedmaster/mark-ii/product

レーシング

スピードマスター の重要なルーツであるレージング要素をフィーチャーしたコレクション。ビビッドでモダンなカラーリングがサーキットを連想させます。自動巻モデル。100m防水。パワーリザーブは52時間のCal.3330を搭載。風貌もサファイアクリスタル。現行ラインナップに入っているモデルです。

https://www.omegawatches.jp/ja/watches/speedmaster/racing/44-25-mm-master-chronometer/product

2017年頃からマスタークロノメーターモデルもラインナップに加わりました。ベゼルにセラミックを採用するなど最新装備で身を固めています。

スカイウォーカー X-33

1998年に初代が登場。X-33は宇宙空間だけでな船外活動の利便性も想定して開発されたモデル。最新のモデルは高精度の温度補正機能を備えています。

MET (打ち上げ後経過時間)やPET(途中経過時間)、アラームなど次世代向けの新機能を備えたデジアナウォッチ。両方向回転ベゼルなどのアナログ機能も充実しています。こちらは現行ラインナップに入っています。

https://www.omegawatches.jp/ja/watches/speedmaster/skywalker-x-33/product

スペースマスターZ-33

NASAのニーズに応えるべく開発された最新鋭機種。急激に進化する宇宙航空技術に呼応した多機能デジタル時計。かつてアポロ計画で得た数々のノウハウがフィードバックされています。最大10回分のフライト情報を記憶して日付、時間とともに表示する機能など、デジタルならではの高機能を満載。ケースはチタン。こちらも現行ラインナップに含まれています。

https://www.omegawatches.jp/ja/watches/speedmaster/spacemaster-z-33/product

他にもコンパクトな38㎜のモデルやムーンフェイズを搭載したモデルなど、様々な派生機があります。全部紹介できないほどです。(もちろん私も全て把握していませんwww)

スピードマスター の代表的なイベントは『スピーディーチューズデイ「#SpeedyTuesday」』では無いでしょうか?

「#SpeedyTuesday」

♯SpeedyTuesdayのハッシュタグを付け、毎週火曜にスピードマスターについて投稿する「Fratello Watches」と言う時計サイトの企画です。

一般の方(スピマス・ファン)も参加したインスタグラム「♯SpeedyTuesday」の投稿は42,000件を超えています。(どうやら古い記事は削除されている様子)

https://www.google.co.jp/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=2&cad=rja&uact=8&ved=2ahUKEwj5x8n40dfoAhURrZQKHf5iCHEQjBAwAXoECAYQDQ&url=https%3A%2F%2Fwww.fratellowatches.com%2Fcategory%2Fspeedy-tuesday%2F&usg=AOvVaw01_dijHWMkwkRjERF7M0tW

その功績を称え「♯SpeedyTuesday」を冠した限定モデルが登場しました。

2017年の夏にリリースを予定されていた限定モデルのスピードマスターの予約が公式サイトにて2017年1月10日に開始され、わずか4時間15分43秒で完売しました。(驚きしか無い)世界限定2012本。

ネットでの全世界同時予約スタートで店舗に並ぶ事はありませんでした。申込者は近隣のブティックを指定してそちらで購入・引き渡しの形が取られました。ブティックに確認したところ日本には5本ほどしか入っていないらしいです。(10本だったかもしれません。)

ST01

逆パンダダイアルで付属品も充実しており、個人的には余裕が無くても購入しておけば良かったと心に引っかかっている一本です。

その後第2弾として発売されたのが『ウルトラマン』

ST02

このモデルは1971年放送の『帰ってきたウルトラマン』の劇中に登場するスピードマスター の復刻になるのですが、これがまさか復刻されるとは!?

もちろん発売当初「ウルトラマン」の名は冠していませんでした。アメリカと日本で数本確認された珍しいモデルで秒針とインデックス(バーやドットでなければ文字盤の数字)にオレンジが使われた珍しくも印象に残る一本です。

マーク2などのレーシングタイプのインデックスと秒針にオレンジが使われているので珍しいマイナーチェンジ機だったのだと思います。

まとめ

様々なモデルや歴史があるので躊躇してしまう面があると思いますが、宇宙計画やアポロの月面着陸などにロマンを感じるのならば手に取ってみてもいいのではないでしょうか?

とはいえ、そういった背景を鑑みなければ持ってはいけない・購入してはいけないものでもありません。

熱狂的なファンが居るだけです。

ただその熱狂的なファンに感化され染まっていく可能性はあるかもしれません。

私はまだ未入手なのでいつか購入したいです。